ビルマ民主化の暗部!経済特別区開発(ビルマ)で強制立ち退きに関するメコン・ウォッチによる要請文。

ビルマ情報ネットワーク経由で、NPO法人メコン・ウォッチから日本政府(外務省)、とJAIC宛に出された「ビルマ(ミャンマー)・ティラワ経済特別区(SEZ)開発事業、および、同ティラワSEZ関連事業に関する緊急要請書」が届きましたので転載します。

ティラワ経済特別区とはビルマのヤンゴン南約25キロにある港湾を中心とした地域で、この地域を国際港湾地域として整備する事業がビルマに対する国際的な援助事業として行われていますが、その開発事業のあり方は住民監視と弾圧という、軍事独裁時と変化がないともいえ、このような非民主的手法の事業に対して日本政府が援助することは大きな問題といえます。

以下、転載文です。
----------------------------

みなさま

現在、日本政府が官民連携でODAなどにより支援を進めようとしているビルマ(ミャンマー)・ティラワ経済特別区(SEZ)開発事業および、同関連事業について、強制立ち退きを迫られている住民が少なくとも500世帯以上いること、同住民に対して、 14日以内の立ち退きを命ずる書面が出されており、それに応じない場合は、30日拘禁するとされていることが、メコン・ウォッチなどの調査で明らかになりました。

これら住民の多くは2012年12月下旬、口頭で初めて、一方的に、立ち退きについて知らされています。

移転にあたっては、代替地も用意されておらず、住民の主な生活の糧に対する補償措置も一切検討されていません。すでに12月下旬、近隣の貯水池からの灌漑用水の供給を当局により止められ、農業ができなくなっている地域も出ています。

さらに、住民らが会合や書簡の作成・提出等、さまざまな活動をしようとしていますが、ビルマ軍関係者が村内での会合を監視したり、住民リーダーに情報の提出を求めるといった状況です。

この状況を踏まえ、本日、メコン・ウォッチは、日本政府、および、JICAに対して要請書を提出し、現在、住民に通告されている14日以内の移転と従わない場合の30日間の拘禁に関し、そうした強制排除やその他の人権侵害が起こらないよう、早急にビルマ政府側に申し入れることなどを求めました。


<要請書>
http://www.mekongwatch.org/PDF/rq_20130208.pdf

2013年2月8日

外務大臣 岸田 文雄 様
国際協力機構 理事長 田中 明彦 様

ビルマ(ミャンマー)・ティラワ経済特別区(SEZ)開発事業、
および、同ティラワSEZ関連事業に関する緊急要請書

現在、2013年初期の建設開始を目指し、日本の公的資金による各調査が実施され、また、パッケージ型インフラ事業として、日本が官民連携で推進しているビルマ(ミャンマー)・ティラワ経済特別区(SEZ)開発事業、および、同関連事業に関し、日本政府はこれまで、特に大規模な住民移転等の問題は起こらないとのご認識であったと理解しております(注1)。また、国際協力機構(以下、JICA)も、「環境への望ましくない影響は重大でない」等の判断をされ、JICA環境社会配慮ガイドライン(以下、環境ガイドライン)に基づくカテゴリ分類を「B」とされています。つまり、同関連事業に関する環境影響報告書、住民移転計画等の提出をビルマ政府側に求めていません。

しかし、現地では、去る1月31日付けで、同ティラワSEZ開発予定地から14日以内の立ち退きを求め、立ち退かない場合には30日間拘禁すると記された書面が、タンリン郡、および、チャウタン郡の当局により、複数の村(注2)の住民の家に貼付されています。こうした世帯数は、少なくとも500世帯以上に上ると見られます(注3)。

これら住民の多くは2012年12月下旬、口頭で初めて、一方的に、立ち退きについて知らされた(注4)とのことで、今日まで、事業計画、また、事業の環境社会影響等に関する情報の提供を受けたり、住民の意見・懸念・苦情を伝えたりする協議の場は設けられていません。

また、代替の移転地も用意されておらず、農地(注5)や小売店業(注6)といった住民の主な生活の糧に対する補償措置も一切検討されていない(注7)なか、多くの住民が、居住地を確保できないまま、生計手段も喪失するという、短期間で非常に危機的かつ深刻な困窮状況に陥ることが懸念されます。すでに12月下旬、近隣の貯水池からの灌漑用水の供給を当局により止められ、農業ができなくなっている地域も出ています(注8)。

さらに、このような状況に対する懸念を示し、適切な対応を求めるため、住民らが会合や書簡の作成・提出等、さまざまな活動をしようとしていますが、ビルマ国軍の諜報員とみられる人物が村内での会合を監視したり 、住民リーダーに情報の提出を求めるなど、事業に関する議論が自由にでき、地域住民および現地NGOの適切な参加が確保できる環境が整っているとは言い難い現状も見られます。

従って、同ティラワSEZ開発事業、および、同関連事業に関し、私たちは以下の点を強く日本政府、および、JICAに要請します。

i.)日本政府、および、JICAは、現在、住民に通告されている14日以内の移転と従わない場合の30日間の拘禁に関し、そうした強制排除やその他の人権侵害が起こらないよう、早急にビルマ政府側に申し入れること

ii.)JICAは、同ティラワSEZ関連事業に関し、SEZ開発事業と「不可分一体の事業」と見做し、かつ、「大規模非自発的住民移転」を伴う事業として、環境ガイドラインに基づくカテゴリ分類を「A」に変更すること

iii.)日本政府、および、JICAは、環境ガイドラインに則り、住民に対し事業、また、移転を含む環境社会影響に関する十分な情報提供を行なうよう、ビルマ政府側に求めるとともに、その支援を行なうこと。また、可能な限り、自らも住民が理解できる言語と様式による情報提供を積極的に行なうこと

iv.)JICAは、環境ガイドラインに則り、住民協議の開催をビルマ政府側に求めるとともに、その支援を行なうこと

v.)JICAは、「非自発的住民移転」に関し、正規・非正規の住民にかかわらず、環境ガイドラインに則った適切な対応をビルマ政府側に求めるとともに、その支援を行なうこと

vi.)日本政府、および、JICAは、ODA大綱の援助実施4原則にもあるよう、「基本的人権および自由の保障状況に十分注意を払」い、住民の結社・集会・言論の自由、あるいは、表現の自由といった人権状況をしっかり把握し、必要な場合には、ビルマ政府に適切な対応を求めること

同ティラワSEZ関連事業に関する円借款契約(L/A)も近々に迫っていることと存じます。本要請書にご配慮いただき、日本政府、および、JICAに迅速にご対応いただけるようお願い致します。

(注1)2012 年4月27日開催、開発協力適正会議 第4回(臨時会合)会議録
(注2)タンリン郡アルワンソ村、また、チャウタン郡パラン村、シュウェピタヤ村、カイエ村等。
(注3)タンリン郡アルワンソ村の住民によれば、同村の約540世帯が同通知を受領。チャウタン郡の住民によれば、同郡の約300世帯が同通知を受領。
(注4)チャウタン郡の住民によれば、当局が書面を各家に貼付した2013年1月31日まで、立ち退きについて知らなかった住民もいた。
(注5)タンリン郡アルワンソ村の住民によれば、同村の約486ヘクタールの水田が影響を受ける。
(注6)現ミャンマー国際ターミナル・ティラワ港(MITT)の付近では、少なくとも 20世帯以上が小売店・食堂等を経営。同住民らによれば、彼らの多くは、1993年に現在のMITTの付近から立ち退かされるまで、漁業を生業としていたが、移転先のチャウタン郡シュウェピタヤ村で生計手段が無かったため、同地で小売店等を始めた。
(注7)タンリン郡アルワンソ村の住民によれば、同村では約15年前(1997~98年頃)、軍事政権により立ち退きが行なわれたものの、その後、同地での開発が進まなかったため、今日まで同地に残り、農業を継続してきた者も多い。また、チャウタン郡シュウェピタヤ村の住民によれば、同村の住民の多くは、1993年に現在のMITTの付近から立ち退かされ、移転してきた農民。(参考:ビルマの現行土地法第31条によれば、土地収用後も6ヶ月以上、事業が実施されない場合には、当該土地は元の利用者に返却される。)
(注8)タンリン郡アルワンソ村の住民によれば、少なくとも、同村の農地約142ヘクタールは、通常、乾季でも水田を営むことが可能(12月~4月頃)。その他の農地は、雨季のみ作付可能(7月~12月頃)。

以上

特定非営利活動法人メコン・ウォッチ
代表理事 福田健治


連絡先:
特定非営利活動法人メコン・ウォッチ
〒110-0016 東京都台東区台東1-12-11 青木ビル3F
Tel: 03-3832-5034, Fax: 03-3832-5039

Cc:  財務大臣 麻生 太郎 様
経済産業大臣 茂木 敏充 様
国際協力銀行 代表取締役総裁 奥田 碩 様
外務省 開発協力適正会議 各委員
JICA 環境社会配慮助言委員会 各委員

"ビルマ民主化の暗部!経済特別区開発(ビルマ)で強制立ち退きに関するメコン・ウォッチによる要請文。" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント