労働政策審議会(労政審)再開に思う--労組の役割とはなにか。

8月31日に労働法制見直しのための労働政策審議会(労政審)分科会が再開しました。労政審は「柔軟な雇用ルールを話しあうために」もうけられた厚生労働省の諮問機関ですが、厚労省側が6月に提示した「中間とりまとめ」が労働者側(一部は使用者側も)の猛反発に遭ってとん挫し中断していました。

労政審の諮問内容は新しく作られる「労働法」に強く反映される可能性が強いのですが、厚労省の官僚が狙っている内容には三つの大きな問題点が指摘されています。

ひとつめは「ホワイトカラーエグゼンプション」といわれるものです。わかりやすくいうと「ホワイトカラー職」には1日8時間週40時間労働を定めた現行の労基法の基準以上働いても、残業分賃金(残業分割り増しでなく賃金そのもの)を払う必要がないとするもの。これは無制限な残業を生み、ただでさえ過労働が問題になっている現状を追認するものです。しかもそのホワイトカラー職については「年収400万円以上」や「管理職」などとされる可能性もあります。年収400万円の管理職でも、100時間を超えて残業した分(100時間を超えて残業する労働者はとても多いのです)も賃金に含まれるならば、それは残業なしの年収200万円労働者と大差有りません。加えて労働者の健康はどうなってしまうのでしょうか?

二つめは、解雇自由の問題です。たとえ会社側に非がある解雇でも、法律によって一定の退職金を払えばOKという、恐るべき内容です。解雇権の濫用や不当労働行為(労働組合活動に対する不利益取り扱い)による解雇でも「金を払えば良い」となれば、企業そのものの遵法性は大きく損なわれます。そのような企業がいったいなにを生み出すのでしょうか?

三つめは労使委員会の問題です。労使委員会とは会社において労働者の代表を選出した場合(その選出基準は明らかでありません)、その労働者代表と会社側による「労使委員会」が決めれば、労働者個々の雇用契約があっても、不利益変更できるというものです。ただでさえ、御用組合によって退職金カットや賃金削減について社員が「合意」させられている現状がありますが、それが全ての企業においてもなされるというものです。しかも、労使委員会は曲がりなりにも「労働組合」の形態を持っている企業内御用組合よりも、さらに経営側に立つものであると考えられます。

このような内容であるからこそ、労働側は猛反発しています。そして使用者側もその非現実性に異を唱えているのです。

労働法制をめぐる動きで注目すべきなのは、労働組合側の対応です。
中小企業の労働組合や、企業の利害に左右されにくい個人加盟スタイルの労働組合(ユニオン)は、この問題にいちはやく取り組み、危険性を指摘し続けています。しかし、大企業労働組合やいわゆる御用組合はどうでしょうか? 組合によってはすでに三つの問題点をすべて追認しているような組合すらあるのが現実です。さらに、労働者側として労政審に顔を出しているのは、このような大手企業組合の代表でもあるのです。

労働法制問題は、労働者の80%を超える未組織労働者の問題でもあります。

厚労省官僚と大企業組合代表者そして企業代表者間で、あいまいな妥協が成立しないように注視していかなければなりません。

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